倭羊の回し蹴り

この国を憂う。映画・読書ノート、徒然なるままに。

『耳が喜ぶ韓国語』金ドンウン・李 勇九著 CD付

ようこそ孤独なハングルの世界へ。
地味で愛想なしの本ですが、あなたが心からハングルを欲しているのなら、耳は喜びます。

 

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1.おすすめ度: ★★★★

2.本書を読んだ目的

ただひたすら多読と音読とリスニングをしたかった。短い題材がたくさんあればあればいいほど思った。この本は最適!

 

3.本の構成

著 者:金 ドンウン著

出版日:2013年8年30 初版第1刷発行

出版社:株式会社 三修社

定 価:2200円(税別)


目   次

Step1  耳慣らし
 1自己紹介
 2私の一日
 3休日の過ごし方
 4登山
 5韓国人の名前
 6学校の勉強
 7夜の東大門市場
 8韓国の四季
 9ソウルの交通事情
 10スマートフォン
 11若者の就職
 12大統領選挙
 13理想的な彼女

 14家事分担
 15子供の教育
 16韓国の観光地
 17カラオケ
 18人気のある職業
 19職場でのストレス
 20北朝鮮問題
 21社内恋愛
 22体験型観光
 23親友
 24新世代プロポーズ
 25時間の約束
 26誕生日
 27国際結婚
 28インターネット囲碁
 29貿易自由化論争
 30ハングルと漢字
 31好きなお酒
 32プロ野球
 33キムチ
 34ファッションセンス
 35秋夕(チュソク)連休
 36ハングルの日
 37韓国の文化遺産
 38整形手術
 39病院での出来事
 40海外旅行
 41葬式
 42自動車
 43宗教
 44雁のパパ
 45英語の勉強
 46法事
 47デートコース
 48片想い
 49軍隊の記憶
 50招待状

Step2 強化訓練
 1プロポーズ
 2ダッチペイ
 3百日祝いと初めての誕生日祝い
 4初雪
 5孫の落書き
 6別れの後、女性がよくすること
 7記念日
 8未婚男女が後悔すること
 9男たちの最近の関心毎
 10金持ちになる方法
 11キムチダイエット
 12往十里に帰ってきたコプチャン
 13鼻の整形
 14大学生活
 15注射
 16雨蛙
 17休暇シーズンの天気の心配
 18祝日シンドローム
 19ジョブプアー
 20見る価値のある公演
 21禁煙
 22軍隊でテコンドー
 23新婚夫婦のメッセージ
 24食事のマナー
 25解放村「リトル梨泰院」
 26チャプチェの作り方
 27紹介ティング、ミーティング、科ティング)
 28酒道
 29冷麺とサムゲタンの値上げ
 30結婚は人生の墓場?

Step3 ステップアップ
 1干支で分かる性格
 2初恋の記憶
 3弁当
 4蚊の退治
 5私の自炊生活
 6わが家のペット
 7私の家
 8アレルギー
 9夫婦げんか
 10友達の訪問
 11家族写真
 12先生の日
 13妻の休暇
 14たばこ断ち
 151対1の合コン
 16一人旅
 17はんこ彫り
 18セクハラ
 19歌手、趙容弼(チョー・ヨンピル
 20読書


総 頁: 165頁

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4.感想

とてもよかったです。
多読したい、音読したい、リスニングしたい!(CDあり)が目的だったので、買って正解。たいへん満足しています。

①レベル別
Step 1 では、各100~200字程度。ハングル能力検定4級程度。
Step 2 では、各200~300字程度。Step 1に比べて少し難しめ。
Step 3 では、ハングル能力検定3級やTopik中級レベルの500~700字程度の20の文章。

孤独な一人語りが大半なので、ドラマのような対話はまったく出てこない


➁音声スピード
まったく普通のネイティブスピードです。男性。
学習者のためにスロースピードなどは一切用意していない。

でも、むしろ語学学習はそのほうがいい。
スロースピードなどあったとて、一体なんの意味があるのだろう?

外国人は、われわれがオロオロしようと何しようと、野獣のようにけたたましく話すのだ。我々は、その野獣スピードに慣れておくしかないのだ。


③愛想なし
そして、この本は 一切、文法の説明はありません。
なので初心者には不向き。

もし文法説明を入れたらこれだけの数のトピックは収まらなかったと思います。

テキストの下のほうに、親単語だけざっくりと書き出してあります。
ほんとうにざっくりとだけ。
中級レベルの方ならば、このレベルであれば読後にちょこちょこと電子辞書をひけば事足りることばかりなので、さほど気にもならない。


左頁に韓国語、右頁に日本語
このスタイルでえんえんと最後まで続きます。

よくあるコラムなどのような、読者きっと疲れたろうな、よしここらで息抜きさせてあげようかなんて趣向は一切なし。まったく愛想なしです。

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⑤求めるな
この本に、至れり尽くせりを求めてはいけません。
「おもてなしの心」は、朝鮮人にはないのです。

あなたが求められているのは、セリフサービス


ただひたすら、耳をすまして「聴きまくる」
口を開けて、大きな声で「音読しまくる」
目を見開いて、「読みまくる」

そう。この本は、自助努力の修行です。


ハングルと毎日いるためにこの本を利用しよう。
会社のトイレで、ランチタイムに、帰りの電車でつねにハングルをこそこそと目に焼き付けてください。

ちなみに、わたしは韓国が好きで韓国語を勉強しているのではないぞ。
愛国者として、韓国を見張りたいから韓国語を勉強している。
悔しいのは、韓国語にとてつもないデジャブーを覚えるのは事実です。

⑥出たよ趙容弼さま。

 本書の中で、吹き出してしまった部分がある。

 それは、19. 歌王、趙容弼(チョー・ヨンピルの部分である。

    趙容弼といえば、近年だと2018年3月の平壌でのコンサートの時、金正恩に90度直角のお辞儀をしてへつらったとして記憶にあるが、彼はいわゆる文在寅派であり、完璧な親北派である。

https://kt.wowkorea.jp/img/album/13/67917/113411_l.jpg


 この本では、その趙容弼を取り上げて「(趙容弼は息の長い歌手であり)若者たちは趙容弼を見習え」と絶賛している。思わず吹き出してしまった。古いし、プロパガンダそのものだからだ。

 真の愛国者, 羅勲児(ナ・フナ)ではなく、趙容弼だということにわたしは苦笑してしまった。日本で出版されている韓国語の書籍はほぼほぼ親北派誘導型なので、こういうところも、「またやっとるわ」と思って楽しめばいい。ふふふん。



あんにょん。

 

 

 

『ドラマで覚える中級ハングル』木内 明 著 CD付

NHKハングル講座でおなじみの木内明先生の書かれた手堅い中級用ハングル学習本。質がすばらしく良い!
韓流ドラマが大好き。中級をしっかり勉強したい方には超おすすめです。

 

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1.おすすめ度: ★★★★★満点

2.本書を読んだ目的

初級本は卒業したので、中級に進みたくて購入。
木内先生が大好きだったので信頼感もあった。

 

3.本の構成

著 者:木内 明

出版日平成23年5月15日 初版第1刷発行

出版社NHK出版

定 価:1900円(税別)


目   次

1部 北斗七星のソナタ
 1出逢い
 2再会
 3忘れえぬ恋
 4別れ

2部 冬のホテル
 1不安
 2危機
 3挑戦
 4旅立ち

3部 チェジュ島の恋
 1新天地
 2届かぬ心
 3揺れる想い
 4北斗七星


総 頁:159頁

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概 要
本書は、NHKラジオ「まいにちハングル講座」2009年1月~3月放送の「ドラマで鍛える『ハングル耳』」のテキストに木内先生が修正を加えて再編集したものである。韓流ドラマや韓国映画を何回聴こうがハングルは上手くなるわけではない。本書では、ドラマを楽しみながらも、独特な言い回しや文法、韓国的な表現、自然に使えるフレーズなどをしっかり学習できるように丁寧に構成してある。


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4.感想


この本は、数あるハングル学習本の中では、すばらしく質が高かった本だと思っています。超おすすめです。

木内明先生は、以前ラジオでこの教材を扱ったそうですが、その時私は聴いていなかったので、比べようがないのですが、この本の内容は実によくまとまっている。

勉強していてとにかく楽しいし、
頭にすらすら入ってきて、記憶に残る。

ドラマ形式になっていて、5話ずつ終わる度に「リスニングの確認テスト」があり、これが電話相談だったり、クイズショーだったり、ファンミーティングだったりの場面なので、独特の言い回しや新しい単語をたくさん学べてとても楽しい。

ドラマの内容は、もちろんドロドロの不倫ものではなく、さらっとした純愛ラブストーリー。しかし、これが世代をまたいだ美しい恋愛ものに仕上がっていてとてもいい。

娘が、自分の母が昔愛した韓国人男性(ジュンヒョク)を好きになってしまうという展開もグッド。
その娘を、やりきれない思いで、職場で片思いする男どものオロオロぶりもグッド。
最後まで紳士を貫くペ・ヨンジュン思わせるジュンヒョクは、ほんまにこんな男いるんか!?とわたしを夢中にさせた。

握力がひじょうに高い学習本となっている。


本文の内容には、全ハングルにフリガナがふってあるので、
初級上がりの人にもとっつきやすいと思う。

(わたしはフリガナがあると、どうしても目で見ちゃうので、ペンで上書きして消しましたが)


語学の学習本を何冊も買って思うのは、
ほんとうに語学が上達したいと思うのなら、

その本と心中するぐらい、今の自分にはこの一冊しかないと思って、何十回何百回と音読しまくる!のが一番だ。

本がボロボロになるぐらい寝ても覚めても、ぜんぶを覚えてしまうまでとにかく読みまくる、覚えまくる、音読しまくる。トイレに入ったら10行は読む、テレビのCMの間に5行読む。寝る前に3行は読む。などルールを作ってとにかくアンドロイドのようにこなしていく。

これさえすれば必ず短期間で語学はモノになると思っている。
いつまでも上達しないのは、甘えているから。

こんな良書が世の中にあるのだから、
徹底的にこの本と心中しましょう。


ちなみに、日本の近代文学の功労者『浮雲』の作者、林芙美子は貧しくて本も買えなかった。当然、女が勉強なんかしても意味がないとされていた時代だったので、夜、そそそと押し入れに入って、ちぎれた新聞を薄明りの中で何度も読んだとか。

あの頃、とにかく何でもいいから活字が読みたかったと彼女は回顧している。



わたしたちは、恵まれたいい時代に生まれている。
なのに努力もせずに文句ばかり言って、他人のしあわせを妬んでいる。
これは良くない。日本人はどんな貧しい状況にあっても工夫して努力した。こんな魂が腐ったような自分になっていてはいけないのだ。

努力をしよう。

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あ、最後ですが、
登場するお母さん役の声の方、この世界では定番のあの方です。

イム・チュヒさん。

疲れてるあなた、とほーもなく癒されます・・・

ぜひ、勉強しながら癒されてください。

 

www.youtube.com

 

 

『ねずさんの昔も今もすごいぞ日本人!』小名木善行著

ねず国史観が最高っっっ!
日本人として誇りをもてる歴史観
真実から紡ぎだすストーリーでないと歴史は語り継がれていかない。

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1.おすすめ度: ★★★★★満点

2.本書を読んだ目的

歴史が大好き。学生時代はずっと世界史派で日本史が頭から抜けているような人間だった。それでいいと思っていたが、年をとり、日本人としこれではいけないと反省。必死で国史をしっかり勉強せねばと思った。ねずさんは保守系歴史Youtube系としてファンだったので、この人の国史観ならばと思って購入。

 

3.本の構成

著 者小名木 善行

出版日平成27年11月4日 初版第1刷発行
    平成25年12月15日 初版第4刷発行

出版社:株式会社 彩雲出版

定 価:1400円(税別)

目   次
1 旧石器時代    三万年前の磨製石器
2 縄 文 時 代  漆と縄文文化
3 弥 生 時 代     縄文人と渡来人の相克
4 古 墳 時 代  日本語の「征服」の意味
5 飛 鳥 時 代  天下の皇民
6 奈 良 時 代  万葉の時代といまの日本の民度
7 平 安 時 代  菅原道真公の決断
8 平 安 時 代  安倍一族と源義家
9 鎌 倉 時 代  壇ノ浦の戦い鎌倉幕府の始まり
10 南北朝時代    建武の中興と天皇の役割
11 戦 国 時 代  ザビエルの言葉
12 安土桃山時代 秀吉の朝鮮出兵
13 江 戸 時 代     貧農史観というデタラメ
14 明 治 時 代     明治維新南北戦争との深いつながり
15 大 正 時 代     飛行機の発明と飛行神社
16 昭       和     世界を救った小麦
17 昭       和     インパール作戦
18 昭       和     思いやりの心
お わ り に    千年後の歴史教科書

総 頁:237頁


概 要:本書は、人気政治ブログナンバー1の常連「ねずさんの学ぼう日本」の記事の一部を編集してまとめたものである。全部で18のエピソードがあり、どれも日本人として日本を心から誇れる歴史に出会える。口語調で中学生にもわかるように易しく書かれてあり、しかも、学校では絶対に学べないであろう目からうろこの情報でいっぱいである。


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4.感想

すばらしかった!

知らないこともたくさんあったので、感謝です。

日本史の中で、18の日本を誇るエピソードが時系列に書かれてある。

わたしがとくに感動したエピソードを挙げていくと、

1. 三万年前の磨製石器
7. 菅原道真公の決断
12. 秀吉の朝鮮出兵
14. 明治維新南北戦争との深いつながり
16. 世界を救った小麦
17. インパール作戦

もちろん、この他にも感動したものはある。
しかし、どうしてもと言われたら、上記6つに絞られ、その中でも最高だったのは、迷うが、やはり 12. 秀吉の朝鮮出兵 ではないだろうか。


1.三万年前の磨製石器

 ・世界最古の木造建築物、法隆寺磨製石器の深い関係。

 ・岩宿遺跡で、世界最古の磨製石器を発見したアマチュア考古学者、相澤忠洋氏の壮絶な研究人生とその誠実な人柄。そんな彼を誹謗中傷しつづけた薄汚い勢力。

 何かを成し遂げようとすると、必ず試練があるということ。
 相澤氏の、誰をも恨まないという、苦難の乗り越え方がすばらしかった。


7.菅原道真公の決断

 ・菅原道真は、遣唐使を廃し、日本を鎖国した英雄である。

 当時、中国との貿易は巨額に儲けることができる商売であったことから、遣唐使を廃止した菅原道真には非難の嵐が起こったという。しかし、道真は中国と交流することで、多くのならず者が日本に流入し、徒党を組んで犯罪集団となり村人を襲い、残酷な殺人事件や強奪事件が増えていったことを重くみて、断交を決断。

 しかし、これを心よく思わなかった反対勢力により道真は政権の中枢から引きずり降ろされ、最後には大宰府で憤死してしまう。

 売国奴だらけの 現代の日本とあまりに似すぎていて、道真公に涙してしまった。
 
 現代で起こっている重大なことのほとんどは過去に起こっている。
 だから歴史を勉強する意味があると思う。


12.秀吉の朝鮮出兵

 壮大なロマンを感じた。教科書ではぜったいに味わえない世界が本書にあった。

 スペインによる侵略を憂慮して朝鮮出兵を決断したことは知っていたが、さらなる深堀がここで読めた。

 スペインが日本に「いっしょに明国を侵略しないか」と誘っていたことや、スペインが日本を侵略できなかった理由、はたまた日本が朝鮮出兵をしていなければ世界情勢はどう変わっていったか等々の推測がすばらしかった。

 世界の覇者スペインとの、手に汗にぎる駆け引き
 今の、日本の腰抜け政治家どもにはぜったいにできないなと思いながら感動した。

 鉄砲コピー能力と秀吉の英断、そして日本が直面している危機を全国の大名が共有することができた。これが日本を救ったんですね・・・
 
 ほんとうに、ここは始終わくわくして読めた。

 そもそも、韓国人に「日本は秀吉の頃、我が国を侵略したニダ」と言われて、それは昔の話とか言って逃げようする日本人はぜんぜん歴史をわかっていない。日本は、朝鮮と戦うために出兵したのではない。それは徹頭徹尾「明」との戦いだったのだから。

 そこから意識を変えると、今の韓国人の言い分に鼻でふふんと笑い飛ばせます。
 彼らは今も昔も、目の前に広がる国際情勢の深刻さを分かることができていない。


14. 明治維新南北戦争との深いつながり

 これもすごい楽しかった。
 1857年の下田協約がもつひっじょおおおに重大な意味。そんなこと学校では教わらなかった!

 当時の日本の官僚が国際金融に疎く、金・銀の交換レートをしっかり把握してなかったばかりに、莫大な金の国外流出を招いてしまい、それが後にアメリカが南北戦争を経て、強大な軍事国家へと飛躍する機会を与え、また日本の明治維新にも多大な悪影響を残した。

 つまりはこうだ。

 アメリカは、日本官僚の無知に乗じて、世界の富の3分の1の金(ゴールド)を手に入れた後、その金で、①二百万の北軍を編成し、➁最新式兵装を整えて南北戦争に勝利し、さらに、③南軍の借金を立て替え払いし、④アラスカまで現金で購入することができた。

 そして、日本は、⑤アメリカが南北戦争で使った中古の武器を大量に買わされて、それで無益な戊辰戦争に突入し、日本中で殺し合いが行われた(8420名の戦死者)ということ。この流れの把握は、すらすらと頭に入っておもしろい。

 日本がどれくらい草刈り場にされていたのか(今も)がようく分かるエピソードだ。

あと、16.世界を救った小麦 や、17.インパール作戦 のエピソードも、
目玉が飛び出るほど楽しいし、知らないことだらけであった。

どちらを読んでも、日本人がなぜにこれほど利他精神に富んだ民族であるのかが、不思議でならない。日本人って菩薩様?やりすぎではないか? と思うほどである。

インパール作戦については、インドの解放、有色人種の解放について尽力したいという日本軍の熱い気持ちはわかるが、どの戦争もどんな小さな戦略も、勝算が少ないとわかっていたのであれば、それがどれくらい立派な行為でも、作戦を練る直すべきだったのではないかと思った。

補給の不備が分かっていながら突入し、結果、白骨街道と呼ばれるほど日本兵の残骸が累々と続いたというのは、戦死兵の家族は無念でならないだろう。日本軍は大いに反省しなければならないのではないだろうか。

 しかし、インド兵を後方に置き、自分たちが先頭に立って戦ったという点や、どれほどイギリス兵にやられても日本兵の士気が高かったなど、あと、餓鬼や幽鬼のような姿で山中を引き上げる日本兵が退却途中どの村も襲わなかったなど、ほんとうに胸が熱くなるような話がここにはたくさんある。



まとめ

日本人として誇りに思えるエピソードは尽きない。

それほど日本史は、古代から現代において、深く、長く、そしてたくさんの英雄が出てくるからである。それは、小名木氏がたくさんのことを本書で述べていてくれている。


しかし、日本民族がどれほど人格的に優れていようが、すばらしいことをしようが、多くの日本人がそれをしっかり誇りに思い、そしてそれを世界に知らしめなければ、日本は今後も自信を喪失しつづけていくであろうと思った。

鎖国に戻ることはできない。
鎖国に戻った瞬間に、日本は中国やロシア、米国といった冷酷な大国に占領・吸収されていくのだから。国益をどれぐらいむしり取られてきたのか。今後もそうなるのか。考えただけで寒気がする。

そうではなく、日本は、日本を理解してくれる中国、韓国、朝鮮以外の友好国を世界にもっとたくさんつくることが必要だと思った。とくに、日本が大東亜戦争で戦った意義を比較的理解してくれる国々が多い東南アジアにもっと力を入れて。


そのためにも日本のすばらしさを国家と国民が内外に発信していくことがとても大切だ。
もっとそこに予算を使えよ日本政府!



一つ要望なのだが、この本は中学生なども読めるように書かれた本だと思うので仕方がないが、それぞれのファクトの出典元を巻末でもちょこっと書いてあればもっといいのになぁと思いました。


 

『基礎教養 日本史の英雄』倉山満・おかべたかし著

ばかやろー。
この偉大な国を誇らずにいられるかっっっ!!!
我が国を作ったヒーロー20人のほとばしる生き方を見てみろ。自分がはずかしくなるわいっっっ。

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1.おすすめ度: ★★★★

2.本書を読んだ目的:

倉山満さんの歴史観が大好きだったので選んだ。彼は、いつも本流の歴史観に挑むかのような異端な見方を提示してくれるので楽しみだった。

 

3.本の構成

著 者:倉山満・おかべたかし著

出版日:2016年3月1日 第1刷発行

出版社:株式会社 扶桑社

総 頁:199頁

目 次
1.神武 天皇
2.ヤマト タケル
3.神功 皇后
4.仁徳 天皇
5.聖徳 太子
6.天武 天皇
7.菅原 道真
8.源 頼 朝
9.北条 時宗
10.足利 義教
11.   豊臣 秀吉
12.徳川 家康
13.田沼 意次
14.   高杉 晋作
15.   西郷 隆盛
16.   大久保 利通
17.   伊藤 博文
18.   東郷 平八郎
19.   桂 太 郎
20.   昭和 天皇


概要
日本の歴史をよく知らない。日本に生まれたことを誇りに思えない。歴史なんてそもそも好きじゃない。そんな人が「日本史を理解し、日本を誇りに思い、歴史を好きになる」そんな英雄ばかりがこの本には20人並んでいる。一人5分、計100分で読み切れる。


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文字は横書き。

4.感想

とてもよかった。

中学生が読んでも容易に分かるような良書。大切なことがコンパクトにまとめられていて、ふと見直したい時に役に立つ。わたしはしょっちゅう見直しています。

コラムも多く、計40あるので楽しめる。
1人物につき2コラムの割合。


本書では、英雄を5つの類型に分けてある。

 ①戦って日本を守った人物
 ➁外交で日本を守った人物
 ③内乱を平定した人物
 ④日本に欠かせない為政者
 ⑤日本を転換させた革命家

強いだけが英雄の条件ではなく、武力はないが知略策略に長けていた英雄、また存在しただけで日本の進む道を照らす光となってくれた英雄など、いろいろな側面の英雄が登場してわくわくする。

この中でやはり一番心にのこったのは、日本に欠かせない為政者、であろう。

この類型で出てくる英雄は6人が挙げられているのだが、なるほどそれぞれが超A級の英雄であると納得する。仁徳天皇聖徳太子大久保利通伊藤博文桂太郎田沼意次

とくにおもしろかったのは、ここに田沼意次が入っていることだった。この点などは倉山満氏の独特な歴史観があって、その理由がおもしろかった。

わたしが習った時代、田沼=賄賂政治家、というイメージが強く、当時の国内政治の腐敗を招いた悪徳官僚という印象しかなかったが、本書では、彼こそは日本に資本主義を準備し、徳川吉宗が行った「享保の改革」の優れた点を加速させ、富国強兵を実践して日本を近代化させようとした英雄とある。彼は鎖国を止めて、海外と貿易をして軍備の近代化することの重要性をあの時代に悟っていた。なるほど。

ここのコラムには、徳川将軍15人の通信簿がつくられていて、それを見ると、最も暗愚なのは、田沼が失脚した後の、徳川家斉の50年間だ。鎖国というぬるま湯に甘んじ、対外政策を打たず、日本の近代化を著しく後退させることになった。

日本には偉大な先見の高い偉人が多くいるが、その偉人に妬み、嫉妬し、強く反対する勢力がかならずいる。今とまったく同じだ。田沼は失脚させられてしまったが、もしも彼の改革が長く行われていれば、明治維新はちがった形で行われていたのではないかとも推測される。歴史に if は許されないが、想像するとひじょうに惜しい。


個人的は、北条時宗足利義教のところも心が躍った。

北条は、鎌倉時代、日本に攻めてきたモンゴル朝鮮軍団から日本を守った大英雄であり、足利義政は、初めて青森から沖縄を統一した英雄である。そして、彼も敢然と明朝の振りかざす日本支配の圧力をはねのけた人物でもある。


わたしが不思議に思ったのは、

織田信長がトップ20に入っていなかったことと、桂太郎がランクインしているところ。
意外だったのだが、このように、あれ?なんでこの人が?と思いながら読んでいくことができれば、あなたも多分に日本史フリークになっていると思う。

ちなみに、織田信長が入っていないのは、足利義教を入れたから。

足利義教は、織田信長より200年も前の英雄だが、改革を邪魔する抵抗勢力を容赦なく叩きつぶしたという破壊力の面では織田信長をはるかに超えていた。信長は彼に習ったのではないかと思うほどだ。

桂太郎に関しては、「こういう人も英雄になれるんだよ」的な視点から入れているそうだ。よく知らなかったので勉強になった。
当時、ロシアのアジア覇権を阻むためにはロシアを叩かなければならない。その戦費(日露戦争)を工面するための課税法案を通すことに、彼の温和でユニークな人柄と努力がひじょうに役に立ったという。

いまの日本と同じだ。女と賄賂に浮かれ、短期的な視点でしか物事を考えられないたくさんの売国政治家の中にあって、迫りくる中国の侵略という国家の危機を察知し、国を守り抜くには何が優先事項なのかを見極める政治家が少ない。

桂太郎も苦労がさぞ多かったであろうと感じた。



以上、詳しくは購入されてお楽しみください。

字面やクレームや体裁だけを気にした、または日本の皇統を無視した薄っぺらい歴史本を買うよりは、日本人としての精神性にのっとった理念に支えられているこの本を買って子供たちに読ませてあげることは、親としてとても意味のあることだと思います。

日本独自の精神性をしっかり根本にもつこと。
それは早いうちにこしたことはない。